TMN「EXPO」の収録曲全曲紹介記事です。
ハウス・バラード・フォーク・メタルなど各曲ジャンルがバラバラであり、かなり挑戦的な作品となっています。『EXPO』のコンセプトが「博覧会のパビリオン」であるため、そういった状態になっているようです。
TM NETWORKからTMNに改名してまで前作『RHYTHM RED』で志向したハードロック路線から更に大きく方向転換し、輪をかけて戸惑ったファンも多かったことでしょう。
そんな内容のTMNの『EXPO』ですので、「どんな曲が収録されているの?」と気になる方もいるかと思います。
そこで、内容を簡単にまとめてみました。各曲の感想が主ですので、気軽に読んでいただけると幸いです!
TMN『EXPO』全曲紹介
1.EXPO
インスト曲です。作曲は小室哲哉。
色んな音が左右から飛んできて、金属的な音である事も相まりSF感を覚えます。
逆再生で何かしらの声が吹き込まれているものの、実際に逆再生してみても何言っているかしっかり聞き取る事はできませんでした。
2.We Love The Earth (Ooh, Ah, Ah, Mix)
作詞・作曲は小室哲哉。
個人的に、TMNは勿論、TM NETWORK全ての楽曲の中で最も好きな楽曲です。
優しいメロディーに地球規模なファンタジー感溢れる歌詞、たまりません。
シングルバージョンからアレンジが大きく変わっており、かなりクラブ用に寄せてきています。
シングルバージョンの試聴はこちら↓(個人的にはシングルバージョンのほうが好き)
アルバム版の時点でイントロが3分程あるのですが、上で紹介している動画の通り、ライヴになると5分以上を平気でイントロに費やし、更にはイントロの中で転調までするので、小室哲哉半端ねぇなと常々思っています。
3.Love Train
作詞・作曲は小室哲哉。
初っ端からサビから入る系統の楽曲の先駆けみたいな曲です。
離れていった女性の事を歌ったラブソングですが、時代が変わったり相次ぐ路線変更からファンがついていけずに人気に陰りが出始めてていた当時の状況を考慮に入れると、離れていったファンのことを歌っていたのかもしれませんね。
その後間もなくTMNの活動を停止し、プロデューサーとして空前の小室ブームを巻き起こしていったところを見ると、TMのいちファンである私としては何だか切なくなってきます。
アルバム版の視聴はこちら↓
4.Just Like Paradise
作詞・作曲は小室哲哉。
全編英語歌詞かつゴリゴリのダンスミュージック。
何言ってるんだろうと思って歌詞を読んでみましたが、メロディーと語感重視のワードの羅列になっていて、特に意味はなさそうでした。
宇都宮ボイスを楽器として使い、あくまでインストゥルメンタル楽曲として聴け、ということなんでしょうね。
ダンサブルさは『EXPO』の中でも随一で、ライヴ『EXPO ARENA FINAL』で披露された際にはマネキンチャレンジみたいなことまでトライしており、観客も大いに盛り上がっています。
ドラムが打ち込みになっていて、ライヴ版と比較するとかっちりした印象を受けるアルバム版の試聴はこちら↓ 。
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5.Jean Was Lonely
作詞は『東京ラブストーリー』などで有名な脚本家の坂元裕二、作曲は小室哲哉。
坂元裕二は『EXPO』の複数楽曲に詞を提供しています。
硬質なピアノから始まり、ラテンで軽快なリズムが全編を覆っていきます。
歌詞もドラマチックで一曲の中でストーリーがしっかり完結しており、さすが脚本家による作詞といったところ。
ライヴでのダンスもなかなか激しいのですが、それを息も切らさず歌い踊る宇都宮隆はフロントマンの鑑だなと、『EXPO ARENA FINAL』を観る度に思います。
6.Crazy For You
伊集院光の高笑いとクラブ・ミュージックをバックに、ロックスター(宇都宮隆)が女性とひたすらいちゃついてるという、なかなか攻めてる謎楽曲です。
宇都宮隆のビジュアル全盛期だったこともあり、ファンにとってはたまらなかったのでしょうかね。※ビジュアル全盛期というのは個人の感想です。
『EXPO ARENA FINAL』では、生ドラムであることも相まってかなりロックな荒々しいアレンジとなっており、個人的にはそちらの方が好みです。
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7.月の河 / I Hate Folk
フォークソングとメタルが、曲を中断したりフェードイン・アウトを繰り返しながら交互に流れてくるカオス曲。
元々は「月の河」と「I Hate Folk」で別の曲だったのが、合体してしまいこんな事に。どうしてこうなった!
「月の河」の作詞作曲は木根尚登、「I Hate Folk」の作詞作曲は宇都宮隆と、二人がそれぞれ単独で作った珍しい曲だったりもします。
『EXPO』発売時に行われていたツアー『EXPO ARENA』にて、フォークパビリオンとメタルパビリオンというコーナーが設けられてカバー曲を幾つか演奏していたそうで、この楽曲がその象徴だったということですね。
「月の河」については、木根尚登ソロでセルフカバーされてたりします↓
8.あの夏を忘れない
作詞は坂元裕二、作曲は小室哲哉。
歌謡曲テイストなラブソング。
そうだね 今までの退屈
僕らが 出会うためにあったから
二度とは ひとりでいられない
ふたりは この風よりも 自由さ
といった甘い言葉がたっぷりです。流石ラブストーリーの脚本に定評のある坂元裕二。
この曲もピアノの音がかなり印象的に使われています。
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9.大地の物語
小室哲哉作詞、木根尚登作曲のバラード曲。
「We Love The Earth」と通じるような、大地をテーマとした愛の歌です。
PVらしき映像があったのですが、ピッケルを持った宇都宮隆が少女と一緒に森の中をただ歩いているという、ホラーというか事件性を疑ってしまうような内容でした。
歌詞の本来の意味とは恐らく別のベクトルでマッチしてしまっており、カオスな様相を呈しています。
10.月はピアノに誘われて
作詞は坂元裕二、作曲は木根尚登。
典型的なラブソングのバラードで、木根尚登特有の甘いメロディにアコースティックギターの絡みが最高です。
木根尚登がボーカルを取り、ライヴだとピアノで弾き語りしてます。
アルバムジャケットのイメージが、タイトルそのままです。
木根尚登による同名小説もあったりします。木根さんは本当に多才ですよねぇ。
11.Tomorrow Made New
作詞は坂元裕二、作曲は小室哲哉。
前作『RHYTHM RED』の時には既に完成しており、そのリリース時のツアーにおいても演奏されていた楽曲です。
『RHYTHM RED』のコンセプトでもあるハードロック要素が色濃く出ている楽曲であるため、クラブミュージックやバラードが多い『EXPO』全体から見ると、かなり異彩を放つ曲となっています。
ハードロックを意識したせいか、途中のキーボードソロ他のTM曲では例を見ないオルガンによるものとなっています。
オルガンを使った演奏自体は、TMNのライヴでしてるんですけどね。↓
ちなみに、タイトルに使われている英単語の頭文字取ると「TMN」となります。
12.Think Of Earth
作詞作曲は小室哲哉。
映像は、今は亡き、福岡県北九州市の遊園地「スペースワールド」にて行われたライヴからのもの。
TM曲の中では珍しく、小室哲哉がボーカルを取っています。
ソロ作品でもお馴染みの『モスキートボイス』と呼ばれる独特の声質が癖になります。
コスモポリタニズム的な地球規模の大きなテーマの歌です。
イントロが4分もあり、実に楽曲の半分がイントロです。プログレかよ。
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『EXPO』おすすめ楽曲
やはり外せないのが『Love Train』と『We Love The Earth』です。
シングルカットされたということもあって詞・曲ともに完成度は高く、時々口ずさんでしまうレベルで耳に残ります。
個人的に好きな楽曲としては『Just Like Paradise』と『Crazy For You』ですね。インスト曲ではありますが、トラックのかっこよさに関してはこの2曲がぶち抜けているのではないかと思っています。
歌ものが好きな方は『Jean Was Lonely』や『あの夏を忘れない』辺りがおすすめです。どちらも坂元裕二によるドラマチックな世界観が詞で展開されています。
とはいえ、アルバム全体のカオスさを楽しむのもオススメなので、全編通して聴いてね!!!!!!!
まとめ
TMNの『EXPO』について全曲紹介してみました。
前作『RHYTHM RED』からは勿論、TM NETWORKのそれまでのキャリア全体からみてもかなり実験的な内容で、よくメジャーレーベルでリリースできたなと思ってしまうくらい全力でやりたい事をやっている印象を持ちました。
この『EXPO』を最後にTMNは活動を停止。メンバーはソロ活動に入り、中でも小室哲哉のプロデュース業は音楽史に残るレベルの足跡を残しました。
メンバーの脂も乗り切った最高の時期に活動停止により作品が暫く途切れてしまっているのは個人的にとても残念でしたが、ある種潔いとも言えるかもしれません。
それでは!