こんにちは、タカムラ(@roze7361)です。
今回は、筋肉少女帯のアルバム『SISTER STRAWBERRY』についての記事です。
収録曲数は6曲、総再生時間は30分とパッと見のボリュームは少ないですが、尋常じゃない密度を持った内容を含んでおり、個人的には筋肉少女帯のベストアルバムTOP3には入る程オススメのアルバムです。
参加メンバーは、大槻ケンヂ(ボーカル)、内田雄一郎(ベース)、三柴江戸蔵(現:三柴理、ピアノ)、太田明(ドラム)、横関敦(ギター)。横関敦はサポートとして参加ですが、『SISTER STRAWBERRY』のアルバム全体の印象を決めるレベルの、とてもいい仕事をしてくれています。
色んな意味で特徴的なボーカルと歌詞でバンドの世界観を構築する大槻ケンヂ、クラシック仕込みの流麗で激しいピアノを奏でる三柴江戸蔵、ジェットフィンガーとも比喩される殆どスラッシュ・メタルに近いエグい速弾きで殴り込みにかかる横関敦の3名が激しく戦い、内田・大田のリズム隊がそのバトルに引けを取らないテクニックで支えていく様は非常に印象的です。
筋肉少女帯『SISTER STRAWBERRY』収録曲
マタンゴ
初っ端からぶっ飛ばしてくる1曲。
クラシック仕込みのピアノからおとなしく入ったかと思いきや、ピッキングハーモニクスや速弾きを遠慮なく叩き込んでくるギターに硬質なピアノが絡み合うハードな音の展開が続きます。リズム隊も激しく、オーケンのボーカルも勢いが凄い。つまりは勢い。
タイトルおよび歌詞の元ネタは、特撮の『マタンゴ』かと思います。1963年公開の特撮映画で、本多猪四郎監督・円谷英二特技監督と特撮好きの方にはたまらないお二方が関わっている作品です。
キノコパワー
『SISTER STRAWBERRY』の中でも一番ぶっ飛んでる楽曲で、『SISTER STRAWBERRY』を代表する一曲。
曲構成も歌詞も全体的に狂っている楽曲ではありますが、中盤のピアノとギターの掛け合いは必聴です。どっちのパートもどう弾いてるのかイメージできないレベルで激しく、もっとこのようなバトルを聴きたかったです。横関さんは何故サポート止まりだったんだろう…。
この曲はPVがあり、上記のピアノとギターバトルのパートもしっかり映してありますが、ピアノは本当にどうしてそれで弾けるのかが分からない…。
夜歩く
激しさと美麗さが同居した、個人的にもお気に入りの楽曲です。作曲は三柴江戸蔵で、クラシックの素養をバシバシと感じます。
『語り』のパートが曲の多くを占めており、夜の街を歩く「君」と「僕」の二人の思いを綴っていきます。楽曲の上に詞があるというより、詞を引き立てる為に楽曲があるような印象を受けます。
ただでさえ色々訴えてくる歌詞を、伴奏とあわせる事で更に解像度を上げてリスナーに届けてくる、これぞ音楽!というような楽曲だと思います。
タイトルの元ネタは横溝正史の『夜歩く』から?
日本の米
ギャグ曲。前曲までとは別ベクトルで狂っている楽曲です。
父さんに対して息子が金をせびるという茶番語りに、「納豆にネギを刻むとうまいんだ!」「君は愛を知っているのか!?」だとか、ひたすら語りかけてくる歌詞が特徴的です。ひたすら勢いです。
本当に意味がわからないのですが、楽器隊の演奏クオリティが高いせいか、何か説得される訳でもないのに説得力を感じてもう一回聴いてしまう、不思議な楽曲となっています。
ララミー
ララミーという女の子(?)が辱めにあって穴に埋められるというブラックすぎる歌詞に、管楽器やゴスペルまで使ったやたら明るい演奏が印象的です。
歌詞の内容からしてあんまり人前では言いにくいですが、個人的には『SISTER STRAWBERRY』の中では一番好きな楽曲です。このラテンな音使いがとても好きなんですよね。ドラムが地味に複雑なのも好きなポイントの1つです。
いくじなし
「夜歩く」と同じく語りベースの楽曲で、聴き終わった後は1つの劇を見終わった感覚に浸ることができました。全体で30分しかないアルバムの中で10分弱も尺を取っている長い曲です。
いかれたまま死んだ”美しい”フェティシストの姉と、何だかんだまともに一生を歩んだ”いくじなし”フェティシストの兄(姉の恋人)を対比するケンジ君の心情が描写されています。ケンジ君は、いかれたフェティシストで居続ける根性を評価しているようです。ちなみに、フェティシストを辞書で引くと「呪物崇拝者」と出てきます。
途中に出てきた行き倒れの女性をケンジ君が助けずなかった事に対して兄が叱ったというくだりなんかは、フェティシストにあるまじきまともさを兄が発揮した瞬間で、ケンジ君の絶望度合いは凄まじかったことでしょう。最後の、兄が姉の事を思い出すくだりも…。
演奏も歌詞に合わせてメリハリの付いた構成で展開し、歌詞の良さを押し上げています。やはり筋肉少女帯はバカテクバンドだ…と再認識させられます。各パートとも凄いのですが、音の少ないところではドラムがとてもいい仕事をしています。
ちなみに、のっけから大槻ケンヂの声とピッキングハーモニクスでギャンギャン鳴ってるギターでユニゾンをしています。どんな声だ。
まとめ
という事で今回は筋肉少女帯の『SISTER STRAWBERRY』のご紹介でした。
筋肉少女帯のアルバムは名盤が多い印象なのですが、『SISTER STRAWBERRY』はインディースのやりたい放題感とメジャーレベルのバカテクが共存してとんでもない化学反応を起こしたせいで、筋肉少女帯の中でも特に素晴らしい作品だと個人的には思います。
はっきり好き嫌いの分かれるアルバムだとは思いますが、是非一度、ちょっとでもいいので聴いてみて、新しい扉を開いてみて下さい。
それでは!